小さい頃は犬を飼っていた
大人になるまで都合、3匹を飼ったと思う
コロ、チロ、あくび
コロとチロはオスの雑種だったが飼ったのは幼少期なので可愛かったなくらいであまり思い出はない
あくびは、マルチーズとチワワのハーフで、近所の人の家に子犬が数匹生まれたと言うので貰いに行った
一番小さく、あくびばかりしていたので、あくびと名付けた
あくびが死ぬまで最も面倒を見たのは親父だった
あくびはすごく長生きしたが、その分、最後は腫瘍ができて可哀想だった
僕はすでに就職して家を出ていたので、たまに帰った時、会うくらいで満足に歩くこともできなくなっていたあくびはそれでも僕を覚えていて嬉しそうにしてくれた
でも多分あれは腫瘍の匂いだろう
何かが腐敗したような匂いがあった
そんなあくびを親父は懸命に面倒を見ていた
親父は無口だった
男同士で何か腹を割って話をしたり、飲んだりしたことは一度もない
いい意味では僕のやることや選択にうるさく言うことは決してなかった
それは今の僕にも引き継がれているように思える
悪い意味では興味がないのかもしれないと思う
娘たちの様々な選択、例えば大学進学とか、就職とか、結婚とか、節目節目がもちろんあるわけだが、それに口を出したことは多分一度もない
どこかに自分たちの選択で生きていくべきだと思っている、あるいは突き放しているようなところがある
ちょっと僕は冷たいのではないかと思いもする
結婚し家庭を持ってから初めて動物を飼ったのは僕が拾ったネコだった
雨の降る寒い夜、家に帰る車のヘッドライトに一瞬、子ネコが映し出された
一度は通り過ぎたが戻って拾って帰ってしまった
なんとなく後ろめたかったから
ネコはなんとなく好きになれなかった僕だったが、結局その後もなんだかんだと飼って
今は3匹目の雄ネコを飼っている