終わった後でずるいと言われそうだけど、僕の予想通りの結果だった
スペンスは強いチャンピオンではあるが、クロフォードは完全に頭抜けているからだ
井上尚弥もそう
パウンドフォーパウンドでトップはどちらになるのだろう
僕はクロフォードに軍配を上げる
クロフォードと井上尚弥の違いは「脱力」だと思う
井上尚弥はやはりパワー=力に勝る分、少し力みがあって、もちろんそれが相手を威圧する源泉でもあるのだが、クロフォードにはそれが全く見られない
クロフォードのパンチには井上ほど力感がない
ないのにとんでもなく威力がある
カウンターで当たれば井上同様、一発で相手をKOできるだろう
脱力できていると無駄な消耗がない
まるで合気道のような動きで滑らかに相手を制し、パンチを繰り出している
この点でクロフォードが井上に勝る
もう一つ、これも多分脱力しているからこそできることだろうが、パンチの軌道とか、タイミングが常識を超えている
放てないだろうという態勢とか、軌道、角度でパンチを打てる
解説の村田諒太が驚くシーンがあった
スペンスの左ストレートに、クロフォードが右ショートアッパーをヒットさせた時だ
そのパンチも凄いが、すぐその後に右のショートの打ち下ろしを追撃させている
クロフォードと井上尚弥が共通する点がある
非常に慎重に、相手を弱らせてから仕留めることである
二人ともそのために鋭いストレートのようなジャブを放つ
何のことはなくてボクシングの王道でもある
ジャブが強くヒットするので、顔を中心線の鼻の下は人間の急所でもあり、何度か食らえばダウンはせずとも予想外に効いていて、パンチのスピードや反応速度、体力が徐々に削られていく
序盤にジャブで主導権を取り、ポイントで優り、中盤までに弱らせて、後半に仕留める
後半になると、相手の反応速度が落ちているし、パンチの威力やスピードも同様だから、カウンターや大きいパンチがヒットしやすくなる
その証拠に、井上がフルトンを倒した展開とクロフォードがスペンスを倒した展開は酷似していた
弱らせているところにラッシュするのでレフェリーは止めやすい
見事なものである
クロフォードは35歳だがウエルター級に敵はいないだろう
スペンスと再戦したとしても負ける要素が見当たらない
スペンスは再戦したいと言ったが、多分、力の差を思い知ったのではないだろうか
もしパワーのある井上尚弥がクロフォード並みの脱力を身につけたら、とんでもないことになるかもしれない