本社に戻ってまたも2年弱で異動
50歳半ばでの単身赴任だ
それも初めての土地である
各々ステップアップしたとはいえ結局5年で4回もの異動は実際にはからだも
心もこたえた
瞑想していなかったらもたなかっただろう
逆にいえば瞑想することによってこのような環境を引き寄せたとも言える
初めて女房についてきてくれるかと聞いてみた
異動や単身赴任に慣れていたとはいえ正直また一からやるのかという思いがあった
昔は会社が異動に際して家探しから不動産屋のやり取り、引越し屋の手配など
多くの支援があったが今やどんな立場でも個人で全てやらなければならない
ネットで不動産を探しいくつか当たりをつけ連絡を入れアポイントを取る
以前は新築がいいだとか日当たりだとか云々と注文をつけたり多くの物件を見て
回ったものだがさすがにいい年になって面倒になる
結局、会社の徒歩圏内、買い物とクリーニングの便利さの2点で候補を3件に
絞り不動産屋も2店とした
最初の不動産屋はいい加減で物件はすでにありませんとの返事
今からいいところを見つけますのでご要望をと言われ即座に退出
もう残り一つだ
ここには2件の候補があった
2件目で即決めた
築30年以上の古い分譲用マンションだったが古さは全く気にしない
すぐ慣れることを身にしみて知っていたからだ
ただとんでもなく広い
2LDKで83m2もある
リビングダイニングは28畳
前回の単身赴任が2Kで30m2ちょっとなのであまりに違う
広すぎるかと思ったが決めた
古い故に家賃もまあ限度内だった
案内してくれた不動産屋のお兄さんはこう言った
本当にここに決めるんですか
俺は何でと聞き返した
一人じゃ寂しいですよ
お前が案内したんじゃないか
と漫才のようなやり取り
女房は結局来るのを拒んだ
すでに子供たちは社会人となり手のかからない年齢になっている
大好きな猫が一匹
趣味とパートの仕事がある
今更知らない土地へ一人でついて行ったって知人もない子供も猫もいない
日頃あまりいなかった旦那と二人きりなんて耐えられないということだろう
もう何も言うことはなかった
ああ結局夫婦と言ってもこんなものかと
怒りではなく寂しさだった
まあ女房には女房の言い分もあるだろう
男一匹がんばるさ