めいそうえっせい

色々と心のままに

中村吉右衛門さんと鬼平

池波正太郎が好きでよく読んだ

 

時代小説は多いが、さっぱりとした文体の中に、ほのかな人情を醸し出せる素晴らしい作家だと思う

神田山の上ホテルの「山の上」という天ぷら屋が好みでよく行っていたと書いていたので、何かの仕事で行った際に立ち寄ったことがある

板さんに池波正太郎さんが好きで来たと言ったら、いつも座っていた一番奥のカウンターの席に座らせてくれた

何かとても幸せな気分だった

 

池波作品の中でも鬼平犯科帳は特に好きだ

鬼平と泥棒たちとの頭脳戦だったり、隠された人情だったり、様々な要素が詰め込まれていて楽しい

その鬼平のイメージに中村吉右衛門さんはピッタリ合致した

鬼平は若い頃はとんでもなく遊び人で喧嘩ばかりしていたようなエピソードを持つ人間として描かれているが、中村吉右衛門さんは、そこからかけ離れた真面目さを感じさせるのにと不思議だった

 

歌舞伎にはとんと興味がなくて、その世界の中村吉右衛門さんを存じ上げないのでなんとも言えないが、やはりそれなりの人生経験が生み出す深みが滲み出ているのかもしれない

遊びだろうが、苦労だろうが、突き抜けた経験を持つ人は、同じようなオーラを纏うものなのか