めいそうえっせい

色々と心のままに

天の声について 中村天風氏の修行より

 天の声を聞けと言われた天風氏

 

何のことか分からないが、滝の轟音響くいつもの場所で天の声を聴こうと

必死に努力する

 

いつまで経っても聞こえない

 

今まで耳に心地よく響いていた鳥の囀りですら邪魔になってくる

 

これが日々繰り返される

 

一日中座っているのだから嫌になってくる

 

ある日とうとう天風氏は投げ出す

 

そして、寝転びぼうっと空を見上げる

 

音から解放された天風氏がとうとう気づく

 

一瞬の空白

 

心に何もない状態

 

音を聴こうとか、聴いてはいけないとか、そんなものを放り出した時に

何もない状態があったと

 

これかと天風氏は悟る

 

カリアッパ氏に報告すると、とうとう聞けたか

これからはその天の声を自分に存分に聴かせてやれと言う

 

本当はここからが真の修行だった

 

この天の声と称される感覚は瞑想で得られる経験と酷似している

 

多分同じものだろうという確信が自分にはある

 

もちろん言葉では言い表せない

 

禅でいうところの不立文字だ

 

いわゆる空

 

何もないのだが全てがある

 

色即是空という

 

空とは色のない世界

 

つまり絶対世界

 

色はこの世、つまり相対世界

 

相対世界であるこの世は、その本性は実は空、つまり絶対世界なんですよと

 

色は遷り変わるが、本質にある絶対は変わらない

 

空を知る、つまり絶対を知ることが人間として生まれた究極の目的ですよと

色即是空は言っている

 

瞑想とは空を知る一つの技術である

 

空になること

 

空であること

 

瞑想法は山ほどあるらしいし、瞑想以外に空を知る方法はないのかと問われれば

多分あるだろうと思う

 

好きな音楽を聞いている時、可愛い赤ん坊をあやしている時、好きな料理を作っている時

絵を描いている時、何気なく夜空を見上げる時、車を運転している時などでも

心が空になる瞬間を味わったことのある人は多いだろう

 

それを、ああ、あの時かなと記憶の片隅にある人にとっては空は身近だ

 

もちろん心当たりのない人でもこれからそれを経験する機会はいくらでもあるだろう

 

ただ一つ言えること

 

心を鎮められるように自分なりに環境を整える

 

心は常に外を向いて活動している

 

それは心の自然な傾向である

 

好きなテレビ番組、心地よい音楽、良い匂い、味覚と触覚は何とかなりそうだ

 

目を閉じる、気になる(好きでも嫌いでも)音を出来るだけ遮る、気になる匂いから

離れる

 

ここから最も制御が難しいのは音だというのが分かるだろう

 

五感の中で聴覚コントロールが心の内側に入るには重要なキーポイントなのだ

 

瞑想修行が深まってくると、外の音にはあまり惑わされなくなってくる

 

内側へ入る集中力が優るからだ

 

気にしないように注意するのではない

 

ほっておけるようになるのだ

 

ただ音を通過させておく

 

するとその音から自由になる

 

もちろん耳に届きそちらに注意が向くこともある

 

それでもいいのだ

 

やはりほっておく

 

何年も前になるが、新幹線の待合室で瞑想をし物凄く深い体験をしたことがある

 

もちろん、大きなテレビ映像と音、人々の騒がしい声、新幹線のアナウンスなど

とても瞑想には向かない環境であるにもかかわらずだ

 

まずは静かな心鎮まる環境で自分の内側を見つめる

 

それがスタートラインのように思える