めいそうえっせい

色々と心のままに

京都の魅力と京都人 2

しばらくして、あるお客さんと懇意になった

 

仕事の中身は伏せるが、その人は非常に大口のお客さんで、僕より年齢は、ひと回りは上だったと思う

 

元々は、僕の会社の商品に興味を持ってくれて、その人の指定した祇園の料亭で会ったのがきっかけだった

 

その後、なぜか僕のことを気に入ってくれたらしく、お付き合いが始まった

 

誘われるままにゴルフや飲みに出かけた

 

その人はアクの強いところがあって、親しくなるにつれていろんな顔を見せるようになっていった

 

最初は、自分は小遣いを5億円持っているというもの

 

IT関係の株を元手1200万円で買い、6億で売ったと言う

 

儲けのうち1億は競走馬を買い、残りが今の小遣いでそれは女房にも内緒の金だと僕に打ち明けた

 

次はこうだ

 

俺は普通はお前くらいのレベルの人間とは付き合わない、ほとんどは社長クラスだ

俺と付き合うにはそれなりでないと困る

 

ところでどこに住んでいると聞く

 

僕がここだと答えると、そんなところはだめだ、京都の人間が住むところじゃない、明日、不動産屋を紹介してやるからすぐにも引っ越せと言う

 

僕はよく覚えてはいないが、なんだかんだと言い逃れをしてその場は切り抜けた

 

それからしばらくして、こうも言われた

 

俺がお前のところの商品を使う意味が分かるか

 

分かりませんと僕

 

お前が全国ナンバーワンになるということだと言った

 

転勤挨拶で伺った際、そうか、お前も本社へ栄転か、俺のお陰だろうと満足そうに言う彼に、「京都人らしく」僕はこう言った

 

確か、全国ナンバーワンになるとおっしゃっていましたが、今、3番目です、まだ上にいますよと

 

彼は顔を歪めはしたが怒りはしなかった

 

その後、半年だか一年たって、彼のところの売上が全国ナンバーワンになったことを知った

 

続く