めいそうえっせい

色々と心のままに

瞑想と仕事

 東京本社に異動した時は部下数人のマネージャーだったがその後一年経たず

して50人を超える部の長となった

全国をリードする営業政策を発信する組織である

当時40代半ばで全国でも稀な若さでの着任だった

 

ストレスよりやる気が勝りいきがっていた

何かにつけ自分が正しいと思い込んでいた

経営役員などにも自分の意見を真っ向から主張した

一方で仕事の面で言えば一歩間違えば会社の命運を左右しかねない非常に

困難な状況を何とかせねばならない責任を持たされたがそれを何とかクリア

することができた

 

その後半年で職位を外された いわゆるクビだ

独りぼっちだ

上司は一人いるがどの組織にも属さない

仲間も部下もいない やることも何もない

完全窓際族

メールは1日50通からほぼゼロになった

 

クビを申し渡された瞬間夢を見ているようだった

これは俺に起こったことなのか

本当に起こっているのか

ただ心のどこかではこうなることをなぜか知っている自分がいた

 

とは言え流石にショックだった

親しくしてくれていた先輩が誘ってくれて晩飯に行った

色々慰めてくれたがやっぱり夢うつつのようで何も頭に入って来なかった

そのまま家に帰れず近くの親父一人でやっているお好み焼き屋に入った

そこへ女房を呼び出した

何で???と渋々のようにやって来た

どう切り出せばいいものかと思案したがストレートにクビになったと伝えた

会社がクビになるわけでもないのでピンときてないようでこれ以上何を言っても

分かってもらえないと思い話を打ち切った

 

銀座で男が飲む理由が初めて分かった

全ての男が銀座の女性を口説くために高い金を払って通うわけではないこと

逆にそのような男は少ないようにも思う

 

自分の話を理解し聞いて欲しいのだ

男は愚痴や自分の失敗を吐き出すことが苦手だ

本当に心を許した相手にしか語れないものを心に持っている

長年企業戦士として頑張ってきた男は成功するにせよ挫折するにせよ

様々な思いを持って必死に戦っている

その思いは女性には分かりづらい 理解されないのだ

悪いと言っているわけではない

違うのだ

あえて言えば立場と経験の違いかもしれない

 

最近女性の社会進出が進んできて責任ある立場に置かれる女性も増えてきている

彼女らも神経をすり減らす厳しい環境下におかれ出世競争をし上司と対峙し部下を指導するような経験を何度も踏めば少しは理解できるようになるだろう

ただほとんどは独身女性がいまだに多く自分の家族が全て肩に乗っているわけ

でもない

 

銀座の女性は全てではないだろうがそのような男の性(さが)とか習性、思考などを理解して話し相手が出来るのではないか

仕事の関係でずいぶん前になるが数回は銀座のクラブに行ったことがある

その時は分からなかった

大して美人でもなくそこそこ年増の女性が多いのに座って飲んで一人2−3万もかかる

店になぜ皆行きたがるのか

ただ一度隣に来た女性と話をした際に政治情勢や経済、読んでいる本のレベルが高かったことに驚いたことがある

 

後で分かった 

勉強しているのだ

男を理解し話が出来るようになるために

 

男は自分を理解し仕事を理解し思いを共有してくれる相手を求めて銀座に行くのだ

考えてみれば弱く孤独な生き物なのかもしれない

 

よく出来た女房という言葉がある

本当によく出来た女房とは何も家事や育児、美味しい料理を作ってくれることを

意味していないのではないだろうか

それらを完璧にこなせたとしても男はそれらへの完璧性を求めてはいないだろう

 

山内一豊の妻は良妻賢母として歴史上有名であるがそのエピソードを読むといわゆる内助の功によって旦那である一豊を浪人から大名に出世させたということである

果たしてこんなことを男は望んでいるのだろうか

山内一豊は男としてそれをよしとしたのだろうか

 

ではよく出来た女房とはどういうことか