先日、上野の東京都美術館に「エゴンシーレ展」を観に行った
小説クラスの歳上の方に誘われて
本当に彼には刺激を受けるのだ
僕より一回り以上歳上なのだが、彼の行動力と知的好奇心には驚かされるし、勇気づけられるというか、僕もああなりたいと思わせてくれる素晴らしい方なのだ
彼からお誘いを受けた時、恥ずかしながらエゴンシーレを知らなかった
ウイーンの生んだ若き天才画家だという
28歳でスペイン風邪で亡くなった早逝の天才
何十年ぶりかで美術館に行った
彼の作品とともに、彼の言葉もあった
彼はアートを宗教というか、魂の言葉とでもいうような捉え方をしていた
そこに魅了された
少し偉そうな言い方になるが、あんな若くしてアートの本質を喝破するエゴンシーレという人はその師匠であるところの有名な「接吻」を描いたクリムトが言った、本物の天才なのだろう
こう書いてあった
「僕には才能がありますか」と聞いたシーレに対し、クリムトは「才能があるかって。あるどころかあり過ぎるくらいだよ」と答えた
レオポルド美術館展なので、シーレ以外にも当時の画家たちの作品が展示してあるが、やはりシーレの作品が目を引く
上手くは言えないが、全てにバランスが取れているように感じる
間近でみても俯瞰して見ても
それにあの色はなんて色なのか、緑のような色が人の体の線に大胆に使われている
強弱をつけて
それがとても斬新で眩しいほどに生き生きとしている
グッズショップで、僕は、背中にシーレの自画像が大胆にプリントされた黒のフーディーパーカーを買い、歳上の彼は、シーレの顔写真が編み込まれたブルーのトートバッグを買った
その午後に小説クラスがあり、彼の後ろに座った僕は、彼の机の上に、そのトートバッグが置かれているのを見て、どうしても欲しくなった
家に帰ってネットでどうにか買えないものか調べたが無理のようだった
そのうちに忘れるだろうと思っていた
ところが、ふとした時に編み込まれたトートバッグのシーレの顔が蘇る
何度も何度も
そのうちに夢にまで見た
僕は、とうとうもう一度チケットを買い、一人で上野まで行った
会場に入ると、どこの作品にも目をくれず、人混みの中を脱兎の如く駆け抜け、最後の特設会場となっているグッズ売り場に直行、トートバッグを買って帰ったのだ
何がそこまで僕を突き動かしたのものか今持って分からない
その数日後、エッセイの会を週末に控え、ある女性参加者の作品を読んでいると、原田マハのことが書いてある
僕の義妹は僕の小説を読んでくれるのだが、原田マハのファンで勧めてくれていたので、「楽園のカンヴァス」という単行本を買ってあった
それを読んでみる気になった
そこにはアンリ・ルソーの「夢」という絵画を巡る物語が展開されていて、非常に面白かったし、近代絵画史の一コマを知ったし、様々な絵画に関する情報も知った
このつながりが僕には不思議だった
それからも様々なところで、エゴンシーレの名前を目にすることになる
どういう意味があるのか僕にはわからないが、僕の直感はこれには意味があると告げている
それが何か、いつか分かるように思うのだ