おぞましい光景だったので、すぐ見るのをやめた
元々は、彼女の顔をテレビで見たとき、その醜悪さに驚いたのが発端だった
恐々と見たが、やはり恐かった
何もわかっておらず何もできない人間が平然と語る恐ろしさ
まるでホラーである
大麻がどうのこうのという話に僕は興味がない
なんの経験値も持たない売れっ子作家がマンモス大学の経営を担う要職に就いて、しばらく見ないうちに、顔の様相が変化したことに興味を持っただけである
自分の信念を貫いて正々堂々生きている人間には清々しさがある
それは表情にも自然と現れるものだ
彼女にはそれがない
全く逆になっている
表情は澱み、恨めしそうでもあり、悔しそうでもある
あれは、夜中に丑の刻参りをする人間の顔だ
本物の自信を内側に持つ人間は、言葉が切れる
断定的で具体的で誰が聞いても理解できる
紛れがないのだ
それも彼女は真逆であった
何を聞かれているのか自分が何を話しているのか理解できないままただ言葉だけを連ねている
彼女は色々言うが、理事長職というポジションに惹かれたのだろう
やれるかどうかわからないけれどもやってみたくなったのだろう
出版界という狭い世界における己の売れっ子作家としての地位が勘違いさせたのだろう
ところが記者会見では、いかに愚鈍な人間であるかを晒してしまった
さらに悪いことに、愚鈍であっても誠実であれば良かったが、最後の砦でもあった誠実さも捨ててしまっていた
やはりテレビで見たあの醜悪さは僕の勘違いではなくそのままだった